活動報告
中山間地域・離島振興特別委員会県内調査について
筆者:高橋まさひこ
2020.10.09
中山間地域・離島振興特別委員会県内調査について
10月6日から7日にかけて、園山委員長所管の特別委員会で隠岐の島現地調査を実施しました。
当該委員会は、中山間地域・離島における諸課題の解決や中長期視点に立った地域の維持活性化策の検討を目的に議会の特別委員会として設置されています。今回は、隠岐地域における産業振興の取組事例や医療提供について実地調査を行いました。
調査先は次の通りです。
- 隠岐の島町役場新庁舎
令和2年9月23日移転 - 祐生水産(有)
まき網漁業の傍ら天然ワカメを地元漁業者から買い取り、加工を通じて沿岸自営漁業者の所得向上と地域雇用の創出 - (有)池田木材店
隠岐の島町特産の黒松を利用した新たな内壁在[なぐり加工]商品販売や同材を活用した照明器具の生産販売、地元の原材料を活用したアロマ製品の製造・販売を手掛ける - 隠岐病院
隠岐の島の中核病院として診療所の機能を支援し、住民が安心して暮らし続けるための医療提供体制の維持と医師にとって魅力ある勤務環境の構築に取り組んでいる - (有)隠岐潮風ファーム
飯古建設有限会社が畜産事業に参入するため、平成16年に構造改革特区(農地利用)と県単補助事業を活用し設立。繁殖牛200頭、肥育牛600頭、肥育牛年間288頭を目標に取り組まれている。また、「島生まれ島育ち[隠岐牛]として、東京でのブランド化に取り組まれている」
- ふるさと海士CAS凍結センター
細胞を壊さない移植など医療技術で生まれたCAS(冷凍技術)を活用し、離島という時間的・費用的ハンデ―を克服する海産物を製造。岩ガキ春香が有名 - 隠岐島前病院
6名の常勤医が全員総合医として、複数制で内科、小児科、外来外科を担い、浦郷診療所・知夫診療所へ医師の勤務を相互乗り入れし、離島勤務の孤独感やストレスから守る地域全体を複数の医師でカバーする勤務体制が築かれている。また、訪問看護、訪問リハビリなど島前地域の地域包括ケアの中核も担っている
限られた時間であったが、経済や医療、住民生活が離島という条件不利地帯の中で、生き抜くための知恵を感ずる調査であった。
(有)池田木材店(池田代表取締役)と(株)吉崎工務店(吉崎専務取締役)の若き二人が出席され、黒松の特徴を生かした内壁材の生産と照明器具の生産コラボ。特に照明器具はヨーロッパの高級ホテルに販売していく計画とのこと。木目を生かした加工技術や照明の陰陽はヨーロッパの人々を魅了する商品になるそうです。
隠岐病院では特別委員会の委員からは、重症患者があったとき、ドクターヘリや防災ヘリが使えない場合の対応について多くの質問がありました。また、医師確保や経営改善について意見交換をおこなったところです。
(有)隠岐潮風ファームでは、自給飼料の確保、年3回しか開かれない子牛市場では隠岐で生まれた子牛を確保の困難性など話し合いしました。外国人観光客や高級レストランでの需要が落ち、コロナの影響が出ているようで、高級和牛肉で離島のハンディを克服してきた努力が厳しくなっている現状を聞き、GOTOイートで消費拡大を強く望むところです。
隠岐の島前病院では、日本医師会の赤ひげ大賞を受賞されている白石吉彦医院長が隠岐島前病院への赴任の経過や専門医よりも総合医の必要性を話されました。
この病院では、総合医と言っても内科・小児科・外科外来まで6名の複数制でこなす先生方で、平成20年からはweb型の電子カルテを運用し、カルテ情報の共有化で緊急時や医師不在時にも対応できるようにされています。往診もされており、医院長からは、若い頃から往診に行ってきたが、最近では他の医師に取られ、月に2から3回程度になったと残念そうに話されました。
徳島県出身の医院長は奥様の故郷である島根県に[1年間、頑張れよ]と送り出されたのが西ノ島だったようです。すでに20年近くへき地医療を支える大変明るい先生に、全国から年間100人もの医学生や看護学生が研修にやってくるそうで、県下の地域医療に携わる先生方の思いが伝わる調査でした。
条件不利地帯である隠岐の島。今回の調査を通じて意見交換で得た多くの課題を政策に反映するために、島根県中山間地域・離島特別委員会の一員として引き続き頑張ってまいります。