県政報告

JR木次線観光列車「奥出雲おろち号」の廃止後は「あめつち」導入受け入れ

筆者:高橋まさひこ
2022.02.10

9日、島根、広島両県や沿線自治体、JR西日本米子支社などで構成する検討会が松江市内で開催され、2023年度での運行終了が予定されるJR木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」の代替えとして、観光列車「あめつち」を乗り入れるJR西日本の提案について、受け入れる方針となった。

JR西日本は木次線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」について車両の老朽化などを理由に、2023年度での廃止を発表している。

JR、島根県、広島県、沿線自治体など、昨年の8月から木次線の観光列車や観光振興について議論を重ね、昨日5回目となる検討会が開かれた。

JR側は検討会の前に山陰本線を走る観光列車「あめつち」を春・夏・秋の行楽シーズンに週1回、木次線の宍道~出雲横田間に乗り入れ、定期列車の内装や外装の装飾を行うといった案を自治体側に提出していた。

この提案に対し、丸山島根県知事は1月27日の定例記者会見で、地域の観光振興と結び付けて活用することにより効果が十分に期待できるものだと考えており、県としては受け入れたいと申された。

地域の観光資源として根付いたトロッコ列車での運行を求めていた沿線自治体。「あめつち」は木次線の大きな魅力の一つ、スイッチバックを含む出雲横田~備後落合間は運行しないという今回の提案に対し、雲南市石飛市長は地域の観光と合わせて活用する中で効果を生み出していける提案であると考える。この提案の方向で具体的な検討を進めていきたいと述べられた。

また、奥出雲町勝田町長は、スイッチバックを走らせることができないのは大変残念で仕方がない。しかしながらゼロベースからスタートした議論の中からご提案をいただいたので、これを前向きに受け止めて進めたいと述べられた。

このように、検討会では県、沿線自治体などがJRの提案を受け入れ、5回の検討会を経て一定の方向性がでるこことなった。

島根県の松尾副知事は、機運というか合意をとることができたことは非常に評価していると述べられ、また奥出雲町の勝田町長は、「あめつち」が出雲横田までで出雲横田以南の接続については、できるだけ接続が可能となるようなダイヤを組んでいただくことをしっかりとJR側に要望してまいりたいと述べられた。

今回のJR西日本からの提案は、「あめつち」の運行区間に含まれない出雲横田駅以南をエリアとする自治体にとって苦渋の決断となった。

JR西日本米子支社和田副支社長は、まだダイヤについては具体的に想定しているものはなく、接続をどうしていくかということについては決まったことはない。今後の議論をもって決定していくと述べられた。

木次線の観光列車は「奥出雲おろち号」から「あめつち」へ、今後は沿線の周遊性を高めるための観光振興策の検討など木次線の活性化へ向け、次のステップへと進むこととなった。

当日配布された「あめつち」のパンフレットです。